ハルト式義歯

ハルト式義歯とは、三重県の西田歯科技工所の西田技工士による、「口腔内で機能する義歯」というコンセプトで作られる義歯(入れ歯)のことをいいます。
目標としては、普通の和食を食べられること、になります。
非常に難解な理論の上に成り立っている義歯ですが、私自身、この義歯の最大の特徴は、きちんとした食事をするために機能に特化した義歯(入れ歯)であると理解しています。

一般的な保険の入れ歯は、クラスプ(金属のバネ)により歯を締め付けることにより義歯を維持し、安定させます。(上図上段)
また、両側の歯が無い場合には、バー(入れ歯の歯の部分をつなぐ金属の棒のようなもの)を入れることで、カタツキを抑えることができます。この金属の棒は、強度が大きいため、歯茎とぴったり合っている間は、入れ歯は安定します。
しかし、はじめは安定していた入れ歯でも、徐々に合わなくなります。
そのまま使い続けると、金属のバネ部分の締め付けにより、歯を引き抜く方向に力が掛かることもあり、合わない状態で長く使うと歯を失うこともあります。さらに、入れ歯とご自分の歯茎の隙間が大きくなるなどの理由でカタツキが大きい場合、金属の棒部分が歯茎に食い込むため、痛みを生じることがあります。

一方、ハルト式の入れ歯は、その方の固有の咬み合わせ、咬むときの顎の動きを妨げず、スムーズな動きを再現させることを目標とした入れ歯です。(上図下段)
一般的な入れ歯と違い、金属のバネで歯を締め付けることはほとんどなく、お口の空間に置くというイメージであるため、無理せずとも自然に噛むことができます。そして、患者さん固有の咬み合わせとフィット感を極限まで追求して製作するため、カタツキは少なく、金属の棒状のバーは必要ありません。結果として、残っている歯への負担は少なく、かつ違和感も少なくなることが多くなります。
このハルト式入れ歯の最大の特徴は機能面であり、通常の和食を食べられるように特化した入れ歯といえます。
ただし、固い食品を好む方や咬む力が非常に強い方にとってはやや割れやすくなることもありますので、バーを使う一般的な入れ歯や保険外の入れ歯を推奨する場合もあります。

当院でも試験的に導入しておりますが、ほとんどの方にご満足頂けております。